ご案内

極端な評価ではなく、雇用のセーフティーネットの一つとして再就職支援ビジネスの社会的な役割と位置づけを明確にし、理解を得ることが必要な時期だと考えます。 本書では、日本の人材ビジネスの禦明期からかかわってきた者の一人として、また、毎日、人材ビジネスの現場に身をおいている立場にたって、再就職支援会社が雇用のセーフティーネットとして具体的にどのような活動をしており、企業と個人の再就職にどのように役立っているのか、その役割と限界、現状と将来的な展望を含めて、再就職支援会社の実態をできるかぎり客観的に紹介するつもりです。
再就職支援会社に業務委託を検討している経営者・人事担当者、また早期退職制度に応募した方々が、どのような再就職支援会社を選べばよいのか、再就職支援会社をどのように利用すればよいのかなどを検討する際の参考としていただければ、幸いです。 再就職支援会社は労働市場サービスとよばれる人材ビジネス業界のひとつの形態です。
再就職支援業は近年になってアメリカから輸入され、広まったようなイメージがあるかと思いますが、実はそうではありません。 前段階として人材サービスというものが存在し、そのなかで現在の再就職支援と類似するサービスが提供されていたのです。
つまり、人材ビジネス全体の概要を知ることなしに再就職支援業を理解するのはむずかしいと思われます。 人材ビジネスの定義は定まったものがありませんが、厚生労働省の委託を受けて「民間の活力と創意を活かした労働市場サービスに関する研究会」が2002年3月に発表した『労働市場サービス活性化のための提言』の規定で、次のようにいっています。
求人情報提供サービス、求人企業活動に関わる支援サービスは本書の意図とは異なるので説明は省略し、職業紹介サービス、労働サービス自体の提供、職業能力開発サービスの提供の三点について話を進めます。 これは求人と求職の円滑なマッチングを目的としたサービスです。
職業紹介・斡旋サービスを行なう機関には、次のようなものがあります。 これらのサービスは公私、有料無料を問わず、企業が求めている人材を紹介するというサービスです。
「求人企業が指定した能力・経験をすでにもっている人材をサーチし、求人企業にとって最適な人材を選考し斡旋する」というのが基本です。 有料職業紹介を「登録型」「サーチ型」と区分することが多いのですが、これは応募者を探す方法の違いで分類しているだけで、基本的な機能の違いはありません。

職業紹介サービスでの出発点は、企業からの求人です。 求人企業の求めに応じて人材を斡旋しています。
できるかぎり多くの求人案件を収集し、求人案件に適合する人材の登録があったときに紹介・斡旋するというのがハローワークや登録型とよばれる人材紹介会社の仕事です。 サーチ型の紹介会社は、依頼を受けた求人案件に的確な人材をより積極的にサーチし、斡旋します。
いずれにしても、一人ひとりの求職者に能力と経験がいかせる求人案件を探し、斡旋するという仕事ではありません。 求人要件に合致しない人材に対して教育や訓練を実施することや、一般的な就職相談はこのサービスの範曙には含まれていません。
あとでふれますが、それが再就職支援会社とのいちばん大きな違いかもしれません。 人材紹介会社は、求人会社から成功報酬を得て経営されています。
求人会社からの依頼を受けて、その会社が要求する人材をサーチし、選考し紹介する。 紹介が成功したら紹介料をお支払いいただく、というのが職業紹介サービスの基本的なビジネスモデルです。
成功報酬ですから、いくら紹介しても入社に至らなければ売上げにはなりません。 また、紹介した人が一定の期間内に退職した場合には返金するというシステムですから、誰をどのタイミングでどこの会社に紹介すれば決定、入社、定着できるのかという紹介の方法論は、どの人材ビジネスに比べても最高レベルにあります。
これは直接的に人材を派遣するサービスで、人材派遣サービスや労働者供給サービス、実際に業務を請け負う業務請負サービスなどがあります。 ここでは最も一般的な人材派遣サービスに絞って簡単にお話します。
人材派遣サービスは、企業と派遣会社が交わした派遣契約によって決められた職務を遂行するために、派遣会社が自社の社員を企業に派遣するというサービスです。 派遣スタッフの雇用主は派遣会社で、仕事上の指示や命令権が派遣先企業にあるというのが基本的な仕組みです。
派遣先企業との契約料金と派遣社員に支払う給与の差額で、派遣会社は経営されています。 派遣期間中、派遣スタッフは派遣会社の社員となる人材派遣は、事務処理請負ということから発展しました。
当初は事務関連の経験者を派遣していましたが、最近では営業など事務処理以外の作業にも派遣する会社も多くなってきています。 また、長い経験と能力のある中高齢者を業務改善プロジェクトに派遣する、たとえば経理システムの改定のために経理の経験者を一定の期間派遣するといった、プロジェクトごとに派遣する会社も出てきました。

派遣業務の規制緩和によってさまざまな業務への派遣が今後も進むものと思われます。 派遣会社は派遣できる見込みがある人材や派遣中のスタッフには充分時聞をかけて技能レベルを評価したり、今後のキャリア形成についての話合いをすることもできます。
派遣中でも自社の社員ですから、派遣先の事情を知ることも必要です。 また、派遣業法によってスタッフへの教育を義務づけられていることもあり、業務に必要な教育を行なう用意ができています。
これは、専門学校、各種学校のように職業能力開発サービスを提供する人材ビジネスです。 このサービスは文字どおり職業につくための能力を得るための教育・訓練を行なうことが目的で、修了・卒業後の就職を100パーセント保証するものではありません。
たとえば、英会話学校やパソコン教室で一定の教育を受け修了・卒業したとしても、その能力をいかす就職先が斡旋されるという保証はありません。 入学者数で売上が決定されるのですから、入学前の相談や学習時の指導には充分な時間をかけています。
この職業能力開発サービスを行なっている会社では、自社のグループ内に紹介会社や派遣会社をもち、修了・卒業者を派遣社員として派遣したり、求人企業に紹介しているところもあります。 また、大手の人材派遣会社や紹介会社とタイアップし、派遣スタッフの教育と修了・卒業後の就職先の確保を図っているところも数多くあります。
これに対して、再就職支援サービスとは、先にあげた『労働市場サービス産業活性化のための提言』でいえば、求人情報提供サービス、職業紹介サービス、職業能力開発サービスの三つの性格を併せもつものといえます。 雇用調整を行なう企業から委託を受けて、退職希望者に対して、退職後の再就職をサポートするサービスです。
その人材がすでに正式に退職をしているケース、企業に籍をおいているケース、出向の受入先を探しているケースなど、さまざまなケースがありますが、共通しているのは、離職に合意した人材の再就職活動をサポートするサービスを再就職支援会社が提供し、その費用は雇用調整を行なう企業が支払うことです。

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